自宅ネット環境の強化 (IPv6 IPoEを使い始めた) その4
上記の記事の続き。
ー振り返りー
インターネット利用の速度向上(というより混雑回避)のためにIPv6 IPoE接続というものを検討し、とりあえず従来のPPPoE(IPv4)接続は残したまま、IPoE(IPv6)を有効化したのが前回までの話だった。
ところが、これは速くなる部分は速くなるのだが、遅い部分は遅いままだ。IPv6対応コンテンツへのアクセスは速くなるが、IPv4サイトへのアクセスは遅いままなので、インターネット利用時の全体的な快適さはあまり向上していない。
というわけで、全体的に向上するため「IPoE IPv6 (+IPv4 over IPv6)」接続に切り替えることにする。
...の前に色々とお勉強してみたので、自分の勉強用のメモとして残しておく。
なお自宅で使用しているBBルーターがNECのAtermであるため、参考リンク先がAtermの例ばかりなのはご容赦いただきたい。
ーIPv4 over IPv6って...なんだか色々ある?ー
IPv4 over IPv6サービスは、複数の会社によって提供されており、中身にもいくつか種類があるらしい。DS-Lite、MAP-E、v6プラス、transixとかいうキーワードで色々出てくるヤツの話だ。少し迷子になりかけた(*1)。
(*1)新たな分野を勉強するとよくあることだが、わからない言葉の意味や中身を調べようとすると、更に新しい用語が新たに複数出てきて、結局なんだかよくわからず挫折しかけるという事象を"迷子"と称した.
NECのAterm公式サイトによると、IPv4 over IPv6サービスの提供事業者とサービス名一覧は下記の通り。どれもできることは基本的にほぼ変わらない。
IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)接続確認済みリスト|動作検証情報|サポートデスク|AtermStation
また、AtermのWEBマニュアルをくまなく読んでみたところ、各サービスは下記の様なプロトコル(=通信手順規格)で通信するようだ。
v6プラス=MAP-Eプロトコルを使用
(ちなみにOCNバーチャルコネクトのプロトコルはよくわからなかったが、知らなくても問題ないのでスルーした)
ーそれって任意で選ぶ/選べるもの?ー
複数の中から任意で選ぶことは基本的にできないが、問題は無い。
インターネット接続に使用しているプロバイダによって、どのIPv4 over IPv6サービスを使うかが決め打ちになっている。プロバイダ各社が使用するIPv4overIPv6サービス名は、ルーターメーカのサイトでも紹介されているので、そこで把握することができる。
IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)接続確認済みリスト|動作検証情報|サポートデスク|AtermStation
→動作確認済み事業者/通信サービス
例えば私が自宅のインターネット接続で使用しているプロバイダはIIJだが、IIJのインターネット接続サービス"mioひかり"がオプションとして提供する「IPoEオプション」では、IPv4overIPv6にインターネットマルチフィード社の"transix"が使用される。(IIJの公式WEBサイトでも、かつルーター各社のWEBサイトでもそう記載あり)
ただしIIJmioのWEBサイトでは、IPv4overIPv6に(transixの内部プロトコルである)"DS-Lite"を使用することや、そのメリット、注意等が記載されており、一方で"transix"という記述はほとんど出てこないので、ちょっとややこしかった。
なお、どのIPv4overIPv6サービスも提供内容は基本的に同じなので、どれであろうと特に問題ない。厳密にはプロトコルがMAP-EかDS-Liteかで仕様が若干異なり、ポート開放や固定IPアドレスが使用できる、できない等が変わるようだが、一般ユーザであれば特に問題にはならないだろう。自宅でサーバを立てたりしている人には影響があるので、注意されたい。
例えば、現契約のプロバイダで利用できるのはDS-Lite系だが、どうしてもMAP-E系のIPv4overIPv6サービスを使いたい等の場合は、プロバイダを変更するというのもありかもしれない。
ーIPv4overIPv6対応機器は何か必要?ー
必要。
インターネット接続に使用しているBBルーターが、IPv4overIPv6に対応している必要がある。BBルーターの機種により、v6プラス・transixには対応しているが、OCNバーチャルコネクトやクロスパスには非対応だったり、どのIPv4overIPv6サービスにも対応していない、ということがあるので注意したい。
IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)接続確認済みリスト|動作検証情報|サポートデスク|AtermStation
→動作確認済み対応製品 IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)
なお、スマホ・タブレット・PCなどの端末側は、(ルーターがIPv6に対応しており、かつ)IPv6通信に対応した装置・アプリであればIPv6でのインターネットアクセスを試みるし、IPv6非対応であればIPv4で通信することになっているようだ。
ー結論。導入前に確認しておくことー
・現在契約しているISP(プロバイダ)で使用できるIPv4overIPv6サービスを確認する.
・現在使用しているBBルーターが、上記で確認したIPv4overIPv6サービスに対応しているかを確認する. 対応してなかった場合は、対応ルーターを買う.
さて、話が長くなってしまったので今回はこのくらいの座学にとどめておく。次回は自宅ネットワークで実際にIPv4 over IPv6を有効化するための作業について書く予定。